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CMF1998の記事一覧

1998年の感想

1998年8月6日

 8日~11日の3日間、広島県総領町で行われたクリエイティヴ・ミュージック・フェスティバルに、行ってまいりました。

 まず、場所ですが、かなり入り組んだところですね。まさに「陸の孤島」。なんでもここは、典型的な過疎の村として小学校の社会科の教科書でも紹介されるほどの過疎っぷりだそうです(なにしろ電話番号の市外局番が6桁!)。

 会場は『ふるさとセンター田総』というところで、廃校になった小学校を改造して、合宿が出来る施設にしたところです。もともと小学校ですから、ピアノのある音楽室や体育館もあり、板張りの校舎が懐かしさを感じさせ、とても良い雰囲気のところでした。
 スタッフの方が、男性用宿泊室を『セロニアスの間』女性用は『メレディスの間』と分けていたのがユニークでした。

 参加者はだいたい30人くらいだったでしょうか。ただし、男性は3人しかおらず、若尾裕先生含めても4人という淋しさでした。ほとんどの参加者が、音楽教育関係あるいは音楽療法関係の方でしたが、なかには演劇関係の方もいらっしゃいました。

 到着して始めに行ったのは、パラシュート遊びでした。一枚のパラシュートを使って、みんなで周りを囲んでバサバサやったり上に放り投げたりして遊びました。
 つぎにジェスチャーゲームをしました。お題を与えられて皆がジェスチャーで表現し、それを当てるという普通のジェスチャーゲームです。その他にも幾つかの遊びをしました。

 夕食後には『ミュージックサーチ』というかくれんぼをしました。この遊びは、全員が音の鳴るものを持って暗闇のなかかくれんぼするというものです。
 全員が音の鳴るものを持っているのですが、それらは同種のものが必ず含まれており(つまりどこかに自分と同じ楽器を持っている人が隠れているという事になります)、その相棒を、音を頼りに自分も隠れながら探し歩くというゲームです。
この遊びは、とっても気に入りました。ゲームとして面白いだけでなく、みんなが出している小さな音がとてもきれいなんですよ。あちこちから鳴っている小さな音が合わさって、学校全体から「じわーっ」と音が出ているような感じで、本当に美しかった。

 その後は、永幡さんによるレクチャーがありました。永幡さんは、今回の数少ない男性参加者の一人で、サウンドスケープの論文で博士号を取得した方です。このレクチャーでは、その論文のなかから、『日本の俳句にみられる音環境』について話されました。音に関する俳句を時代別に取り上げ、調査したものです。このお話もとても興味深いものでした。

 夜も更け寝る時間になりましたが、こういう合宿では皆やすやすと寝るはずもなく、ビールを飲み、楽しく語らいのひとときを過ごしました。

 二日目、7時半起床はちょっと辛かったけど、なんとか起きました。
 少しウオーミングアップがてら体を動かして、そのあとは4チームに別れて演劇ゲームっぽい事をしました。
 お昼ご飯を食べて午後からは様々な方法を使っての即興演奏講座です。いろいろやった後は4チームに別れ、夜のコンサートに向けて練習と打ち合わせをしました。僕らのチームは8人いて、僕は鍵盤ハーモニカ、そのほかオカリナとアルトリコーダーと拍子木、空き缶、鈴、カリンバ、ウッドブロック、だったかな。全部は覚えていないんだけど、まあそのような編成でした。

 また、その他にも、永幡さん(ピアノ)、阿部さん(アルトリコーダー)、須賀さん(オカリナ)、僕(鍵盤ハーモニカ)のカルテットで即興のセッションをコンサートでやることになり、またさらに、永幡さん(サックス)と僕(鍵盤ハーモニカ)のデュオもついでにやってしまおうということになりました。

 夕食の後、いよいよコンサートです。若尾先生がこのコンサートを録音し、CDにするとおっしゃったので、なんだか緊張してきました。

 コンサートの前に、ひとつ前座のパフォーマンスがありました。地元の女子中学生4人組による、ピンクレディーのユーフォーのパフォーマンスです。これも楽しませてもらいました。

 コンサートは、若尾先生の作品”ピアノのまわりで”で幕をあけ、各グループの即興演奏がありました。それぞれ創意工夫を凝らした面白いものでした。

 それからスタッフのグループによる演劇が披露されました。とっても楽しいコンサートでした。CDが楽しみです。

 その後は、ポーリーン・オリヴェロスの”サウンドメディテーション”という音の修行?をしました。部屋を暗くして、ろうそく立てて、鐘を叩いて、その余韻をひたすら聴き、まったく余韻が聴こえなくなったら、また誰ともなく立ち上がって鐘を叩きにいくというものです。たぶん1時間ぐらいやっていたんだと思います。メンバーは入れ替わりで、途中そーっと入って来る人や、出ていく人もいました。僕もあまり気が長い方ではないので、途中入って途中出ていきました。鐘の余韻よりも、カエルや虫の声のほうがよく聞こえました。しまいには、だれかのいびきが聞こえてきました。暗闇でろうそく立ててシーンとしてりゃあまあ、眠くもなるわなあ。

 そうこうしているうちにもう12時くらいになっていて、でもやはり酒を飲んで語らい、夜は更けてゆきました。

 さすがに3日目の朝はきつかったです。
 3日目は、今回のゲストの劇団『天然木』の皆さんによる芝居です。天然木は小、中学生で構成されている劇団です。
皆元気でとっても楽しかったです。
 そのあと、天然木の先生と広大教育学部の樋口先生を交えてのディスカッションがありました。

 3日間とっても充実して楽しくて、あっという間に過ぎました。
 また来年も来たいね!と、思いました。
 ちなみに来年は、ゲストとしてデンマークの直感音楽協会の方をお招きするそうです。

 帰り、永幡さんと高田さんを車で広島駅まで送って行ったのですが、(といっても疲れて途中永幡さんに運転を交代してもらったけど。)せっかくだから広島名物お好み焼を食べようということで、みっちゃんを目指しましたが、定休日。それならば八昌にしようと薬研堀まで歩いたのですが、ここも定休日。とことんついてねえなあと言いながら歩いていると、へんくつやを発見し、美味しいお好み焼きにありつきました。

追記:
この文章は、僕が初めてCMFに参加した時に友人宛にメールで送った報告文章を、2003年に校正したものです。
現在(2003年)、5年前のこの報告文を読み直してみると、いかにも第1回という感じで、現在と違うこともたくさんあることに気づき、驚いています(第1回からそれほど変わっていないという印象を持っていたので)。
特に、地元の中学生によるピンクレディーのユーフォー、ワークショップのほとんどを若尾裕先生とNORAの方々が担当していたことも、とても懐かしく思いました。

寺内大輔 
https://dterauchi.com/

1998年

1998年8月6日

■会場
広島・総領町ふるさとセンター田総

■日程
8月8日(土)
演劇ゲーム、音遊び、即興表現(若尾裕)
ミュージック・サーチ(T・ウィシャート)
日本の俳句にみられる音環境(永幡幸司)

8月9日(日)
即興演奏
環境パフォーマンス
コンサート&発表

8月10日(月)
サウンドウォーク
パフォーマンス公演(ミュージカルシアター”天然の木”)
ディスカッション(樋口聡 & ミュージカルシアター”天然の木”)
昼食

■講師
●樋口聡
広島大学教育学部助教授。
専門は身心文化論。身体、芸術、スポーツ、教育などの多様なテーマを、主に美学的視点から研究。従来の枠を越えて、新しい学問のスタイルを追求している。

●ミュージカルシアター”天然木”
大人と子どもが一緒になってミュージカルを作っている熊本のグループ。
舞台のことだけでなく、生活の問題も大切に考えている。春の屋久島での公演を皮切りにツアーを始め、夏には車2台で西日本を縦断公演する予定。

●永幡幸司
1970年京都生まれ。
福島大学行政社会学部助教授。騒音研究、サウンドスケープ研究に従事。
最近は、一般市民や小学生を対象とした音の環境教育にも力を入れている。
CMF恒例(?)の「うるさくてごめんバンド」結成の言い出しっぺ。

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