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2000年の内容

2000年8月6日

『CMF2000のゲスト、モニクとゴッドフリートのこと』

(ここでは2000年のフェスティバル全体のことではなくて、ロゴスのお二人のことを書いてみます。個人的な思い出話しになってしまいましたが・・。)

モニクとゴッドフリートは、ベルギーのゲントという町で長く音楽活動をしている。ロゴスというのは、二人の活動のことと、アトリエ、コンサートホール(100席の)、事務所、そして彼らの住まい全体のことを指している。活動はコンサート、CD制作、冊子発行、地域の音楽活動、そしてゲントの大学での講義、などなど。

はじめて会ったのは1994年のこと。押しかけて行ったのに、大変にもてなしてくれた。しかも、このときは家族3人(息子は当時高校生・・今は何してるの?)でおじゃましたのだけど、ゲントの町内観光ガイドまでして楽しませてくれた。

このときには、すでに例のコンピュータ制御の動きと音の同期マシーン(キッカイくんのおもちゃみたいな)が出来上がっていて、モニクは優雅に踊って(もちろんゴッドフリートがキッカイくんになって)デモ演奏を見せてくれた。(その後、どんどん改良されたようで、この年(2000年8月)に持ってきてくれたものはもっと性能も上がっていたようだ。) 

それから、1998年夏にもう一度、こんどは一人で訪ねた。そのとき、ロゴスで働いているチェリストで弦楽器制作もする人を紹介してもらって、モニクと一緒に彼の仕事場へ行った。古典のヴァイオリンが4丁おいてあって、試しに弾かせてもらった。そしてゆずってもらったのが今の私の楽器。とてもうれしかった。なにしろ、はじめてのまともな楽器だったから。(日本に帰って楽器店に見にいった・・同じミルクール作の楽器が飾ってあって、とても高い値段!)。 

ロゴスではゴッドフリートのいろいろな研究試作品楽器や音楽を聞かせてもらった。それはほんとうに、ものすごいものだった。中でも、プレイヤーピアノ。これでコンロン・ナンカロウの作品をいくつも聞かせてくれた。これはほんとにすごい迫力だった。あとパイプオルガンのようにパイプを使った大きい製作中の楽器など。

彼らの住居であるロゴス全体も広くて、その上、さまざまな楽器やたくさんのコンピュータや、ゴミかなにかわからないものまで、ほんとうにいろいろと置いてある。それなりに、かなり整頓はされているのだけど、とにかく物(楽器)が多い。それで、さらに彼らはそのさまざまな大仕掛けの作品を保管するために、歩いて10分くらいのところに倉庫を借りている。倉庫の中はゴッドフリートが作ったいろいろな楽器やなんかでいっぱいだ。そのうちのいくつかをモニクはひっぱりだして見せてくれた。自転車を改造して音がでる仕掛けをつけたもの、テレビのモニター画面をかぶるお面のようなもの、おおきい耳のかたちの音拡大機、おおきい乗り物(高いところに立ってこぐものと、低くしゃがんでこぐものと2種)で、ペダルをこぐと音がでるもの・・・どれも「おおきい」、しかも増えつづけているようだ。

モニクが言っていたのだけど・・この10年くらいは経済的にやっていけるようになったけどそれまでは大変だった・・とか。ひとしきり昔話(ロゴス設立時のころ)をしてくれたあと、「・・それで、私達は子供と車を持ってないの・・」ということだった。なるほど。
「子供と車」より「ロゴス」を選んだというわけだ。けど、子供はさておき・・「車はそんなに高くないんじゃない?」って言おうとしたけどやめておいた。子供と車、どちらが高いかは謎だけど、どちらも大変には違いない。ロゴスはこんなふうにしてやってきたのだ。
自分達で築き上げたものがあるというのはすごい。そして、ゴッドフリートの変なすごい機械やなんかを作るための材料調達方法などの話しも。すごく太いジャバラのパイプ(音がひびく)を前にして、「電話をかけまくってね、何に使うか説明するのよ。そしたら面白がってゆずってくれた会社があったの。」、「そういう交渉をするのが楽しい。」という。とにかくそういうわけで、モニクはゴッドフリートの天才電気オタクみたいな活動を支えている。

ゴッドフリートは、朝起きるとすぐに仕事にかかり、晩までずう~っと仕事をしている。
このフェスティバルに来日した時もほんとうにトンボ帰りだった。理由は「やりかけの仕事」。仕事といっても変な楽器を作る仕事なんだけど、ロゴスの二人は好きなことをとことんやるパワーにあふれている。それで、彼らはうれしそうにいそいそと帰っていった。

フェスティバルのワークショップ では、シュルレアリスティックな技法による音の出し方、リゲティ式微分音による音の出し方、を体験した。
(2003年10月 わかおくみ)

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